2009年2月25日水曜日

高血圧とインスリン

 高血圧それ自体は病気ではなく、背景に何か原因があってその為に血圧が高くなっている状態なのです。風邪を引いたときに頭が痛くなるのと同じです。風邪そのものを治さず頭痛薬だけを飲んでいても一時的なのと同じで、高血圧の背景に有る原因を取り除かずに降圧薬を飲み続けていても本来の病気はどんどん進行して行き悪い結果を招くのみなのです。
 血圧とは一体どんなものなのでしょうか。身体は血液が運んでくる、色々な栄養物―タンパク・脂肪・糖・ビタミンなど―により健康が保たれているのですが、血液を身体の隅々まで行渡らせる為に圧力を加える為のポンプ(心臓)が必要なのです。その役目をしているのが心臓です。水道に例えて考えてみると良く分かるのではないでしょうか。浄水場を出た直後は水道管の直径が大きいためそれ程の圧力を加えなくても水は流れますが、各家庭に近ずくにつれて水道管の直径も細くなり浄水場からの距離も遠くなるのでポンプの圧力を上げなければなりません。また、太い水道管(大動脈)が例え錆(コレステロール)で多少内径が細くなってもポンプ(心臓)の力を上げなくても大丈夫ですが、家庭に入ってくる細い水道管(細動脈、毛細血管)の内径が錆で細くなる(動脈硬化)とポンプの圧力を相当上げないと供給される水の量(血液量)が減ってしまいます。この様な状態が高血圧なのです。だからコレステロールを減らさずに、単に薬だけでポンプに圧力が懸からない様にしても、錆(コレステロール)は溜まる一方で気ずかない内に突然不幸な結果を招く事になるのです。
 私達の身体では、その他にも色々な血圧を上げる原因が存在します。血液中の塩分濃度が上昇すると濃度を下げ様として水分が取り込まれ結果として血液量が増えポンプ(心臓)の圧力が上昇します。血液中の塩分濃度に関しては現在でも塩分の取り過ぎだと云われていますが、大分以前より殆どの食品は減塩・低塩となっています。にも拘わらず、高血圧で治療を受けている人達の数が減るどころかむしろ増えてきています。この事から考えると血液中の塩分濃度が上がる原因はそれ以外にあるとしか考えられません。今ではインスリンの働きによるものだと考えられる様になって来ています。
 興奮した時に血圧が上がるのは、自律神経の中の交感神経が興奮する為で,インスリンもこの神経を興奮させる働きがある事が最近になって解かって来ました。従って、糖分を多く含む様な食べ物――ご飯やパン・めん類・ピザ・ケーキなど――を食べる事によりインスリンを刺激すれば血圧は余計に上昇します。つまり高血圧になるのです。低塩・減塩をしていても血圧が一向に下がらない大きな原因なのです。現に相談にお見えになってご説明申し上げ、少なくとも1週間は穀物類(ご飯・パンなど)・果物はもちろんの事野菜もやめて、魚介類と肉類・豆腐・卵だけで過ごしていただいた方は血圧は全くの正常になります。それ以後は穀物類・いも類・豆類・果物はもちろん野菜も控えめにした食事を続けている限り、血圧はいうまでもなくコレステロール・中性脂肪も正常になり大変喜んで頂いております。